もみじと紅葉狩り
その由来と全国の絢爛な名所
秋の深まりとともに、日本の山々や庭園を赤や黄色に染め上げる「もみじ(紅葉)」は、桜と並んで日本人が愛してやまない自然の芸術です。特に、この紅葉を楽しむ行事を「紅葉狩り」と呼びます。
🍂 なぜ「紅葉狩り」と呼ぶのか?
美しい景色を眺めることを「狩り」と表現するのは、現代の感覚では不思議に思えます。これは、日本の古い文化、特に平安時代の貴族の習慣に由来するとされています。当時の貴族たちは、野山に出かけた際に、花や草木を実際に手に取って愛でる習慣がありました。例えば、「野菊狩り」や「蛍狩り」といった言葉が残っているように、「手で取る」行為を「狩る」と表現していました。そのため、紅葉を愛でる行事も、実際に葉を摘む摘まないにかかわらず、「美しい紅葉を求めて野山を巡る」という意味合いで「紅葉狩り」と呼ばれるようになりました。また、山で獲物を追う「狩り」のように、紅葉を追い求めて山々を分け入る行動を活動的な「狩り」になぞらえたという説もあります。
🌟 全国を代表する紅葉の名所
日本全国には、その土地ならではのスケールや歴史的背景を持つ、素晴らしい紅葉の名所が数多く存在します。
日本全国には、その土地ならではのスケールや歴史的背景を持つ、素晴らしい紅葉の名所が数多く存在します。
北の地、北海道の大雪山(旭岳周辺)は、日本で最も早く紅葉が始まる場所の一つであり、9月上旬から三段紅葉が見られます。
東北地方では、宮城県の鳴子峡のダイナミックな渓谷美が有名です。
関東地方の日光(栃木県)では、いろは坂や中禅寺湖周辺で様々な紅葉が楽しめます。
また、甲信越地方の黒部ダム・立山黒部アルペンルートは、ロープウェイなどから標高差による紅葉の変化を体感できます。
関西地方の紅葉のハイライトは京都で、嵐山・嵯峨野の渡月橋と紅葉のコントラスト、そして東福寺の通天橋から見下ろす洗練された紅葉が見事です。
そして、九州にも魅力的な名所があります。
宮崎県の高千穂峡では、五ヶ瀬川の深いV字谷の絶壁と、エメラルドグリーンの水面、色づいた木々のコントラストが美しく、貸しボートから眺める景色は格別です。
また、長崎県の雲仙岳では、仁田峠(にたとうげ)へのロープウェイから、雄大な山々の紅葉を眼下に楽しむことができます。
西日本では、広島県の宮島・紅葉谷公園が、世界遺産の厳島神社と紅葉が調和した美しい景色を作り出します。


